「SIerはやめとけ」「ブラック企業が多い」「スキルが身につかない」。
SIer企業への転職や就職を考えているあなたは、このような声を耳にしたことはありませんか?
たしかにSIerには、納期に追われる、客先常駐が辛いなど、さまざまな課題があります。
一方で、SIerには安定した仕事量や社会貢献できる魅力、大規模プロジェクトの経験を積めるチャンスなど、数多くのメリットがあるのも事実です。
ただし、企業選びを間違えると、スキルアップの機会が限られる、厳しい労働環境に置かれるといったリスクも生じます。
そこで本記事では、「SIerはやめとけ」と言われる本当の理由や、SIerで働くメリット・デメリット、向いている人・向いていない人の特徴を徹底解説します。
目次
SIerはやめとけと言われる8つの理由
「SIerはやめとけ」と言われる主な理由を8つ紹介します。
この要因を知っておくことで、SIerへの転職を検討する際の判断材料になるでしょう。
理由1.納期が厳しい
SIerで「納期が厳しい」と言われる背景には、クライアントとの契約による厳格な期限設定があります。
特に大規模なシステム開発では、複数の工程が連動しているため、1つの遅れが全体に影響を及ぼします。
たとえば、銀行のシステム更新では決められた日時までに完了させる必要があり、その過程で予期せぬ問題が発生しても、納期は動かせません。
また、クライアントからの仕様変更の要望に対応しながら、当初の納期を守らなければならないケースも多々あります。
このような状況下では、個人の生活リズムが乱れやすく、ワークライフバランスの確保が難しくなります。
理由2.スキルアップしにくい
SIerでスキルアップが難しいと言われる理由は、業務の反復性にあります。
一度構築したシステムの保守運用や、似たような仕様のシステム開発を繰り返すことが多いものです。
特に大手企業向けのシステムでは、安定性を重視するため最新技術の導入に消極的な場合も多くあります。
その結果、レガシーな技術スタックでの開発が続くことになるのです。
たとえば、新しいプログラミング言語やクラウドサービスを学びたくても、実務で使う機会がなかなか訪れません。
また、専門性を高めようとしても、プロジェクトの都合で異なる領域に配属されることもあり、特定の分野で深い知識を積み重ねにくい環境です。
このように、市場価値の向上につながるスキルアップが困難な状況が、「やめとけ」という評価の一因となっています。
理由3.ブラック企業が存在する
SIer業界には、残念ながらブラック企業が存在します。
特に中小規模のSIerでは、適切な労務管理がなされていないケースも散見されます。
具体的には、サービス残業の常態化、休日出勤の強要、有給休暇が取得しづらい雰囲気、突発的な待機対応など、労働環境に関する問題が山積みです。
さらに、評価制度が不透明で、努力が適切に評価されないこともあります。
プロジェクトの遅延を個人の責任として押し付けられたり、クライアントからのクレーム対応を一方的に押し付けられたりするケースもあるでしょう。
このような企業文化が社員のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼすため、「やめとけ」という警告の対象となっているのです。
理由4.給与が低い
SIerの給与水準が低いと言われる背景には、業界特有の構造的な問題があります。
多くのSIerは、元請け企業から仕事を受注する下請け構造の中に組み込まれています。
この多重下請け構造により、実際の開発現場まで届く報酬は大きく目減りしてしまうのです。
たとえば、エンドクライアントが支払う費用の半分以下しか、実際の開発者に還元されないケースも珍しくありません。
また、定型的な業務が多いことから、高度なスキルに対する評価が適切になされにくい傾向にあります。
さらに、同じIT業界でもWeb系企業やスタートアップと比較すると、給与の上昇カーブが緩やかです。
このように、経験年数だけ増えて給与が大きく伸びないことも「やめとけ」という評価につながっています。
理由5.客先常駐がつらい
SIerで「やめとけ」と言われる大きな理由の1つが、客先常駐の辛さです。
客先常駐では、自社の同僚から物理的に離れた環境で働くため、技術的な相談や業務上の悩みを気軽に共有できる相手が周りにいないことも多くあります。
特に経験の浅いエンジニアにとって、この環境は大きなストレスとなります。
また客先の社員や自社の方針の間で板挟みになったり、客先の企業文化に馴染めなかったりするケースも少なくありません。
さらに、常駐先での人間関係や業務内容に不満があっても、契約期間中は我慢せざるを得ないという状況も発生します。
このような環境で長期間働くことは、メンタル面での負担が大きいと言えるでしょう。
理由6.企業によっては業績が不安定
SIerの中には業績が不安定な企業も存在し、これも「やめとけ」と言われる要因の1つです。
特に下請けのSIerでは、上流企業からの発注状況に業績が大きく左右されることも少なくありません。
業績が悪化すると、まず社員の給与面にしわ寄せが来ることも多く、賞与のカットや昇給の停止などが行われます。
また、新規案件の獲得に必死になるあまり、無理な受注を行って社員の労働環境が悪化するケースも見られます。
さらに、業績不振が続くと人員削減や部署の統廃合が行われ、従業員の雇用不安にもつながるでしょう。
このような状況は、長期的なキャリア形成を考える上で大きなリスク要因となっています。
理由7.離職率が高い
SIerの離職率の高さも、「やめとけ」という声につながる理由です。
たしかにSIerの離職率は他業種と比べて高い傾向にありますが、これには複数の要因があります。
1つは、習得したスキルを活かしてキャリアアップを図るために転職する人が多いことです。
SIerでの経験は、より条件のよい企業への転職や、フリーランスとして独立する際の強みとなります。
また、プロジェクトの終了に伴って自然に退職するケースや、より専門性の高い分野にチャレンジするために転職するケースも多く見られます。
つまり、必ずしもネガティブな理由だけで離職率が高いわけではないのです。
理由8.SIer営業ではノルマを課される場合がある
SIer営業職では売上や案件獲得のノルマが設定されることも多く、これも「やめとけ」と言われる理由の1つです。
特に大手SIerでは、四半期や年間での目標達成が求められます。
このノルマのプレッシャーにより、本来なら受注を見送るべき案件でも無理に受注してしまったり、技術的な実現可能性を十分に検討せずに提案を行ったりするケースが発生します。
また、ノルマ達成のためには頻繁な営業活動や提案資料の作成が必要となり、長時間労働につながることも考えられるでしょう。
さらに、目標未達の場合は評価や給与に影響するため、常に精神的なストレスを抱えることになります。
SIerが向いていない人の特徴
SIerへの転職を考えている方に向けて、向いていない人の特徴をお伝えします。
以下の5つの特徴に当てはまる方は、SIerでの就職・転職は慎重に検討したほうがよいでしょう。
それぞれ解説します。
特徴1.プログラミングに苦手意識がある
SIerの業務では、Java、C言語、PHPなど、さまざまなプログラミング言語を使用します。
システム開発やカスタマイズ、保守運用など、日常的にコードを扱う機会が多いため、プログラミングへの苦手意識は大きな障壁です。
新人研修では、短期間でプログラミングの基礎を習得することが求められることもあります。
この段階で挫折してしまうと、その後のキャリアにも影響をおよぼす可能性もあるでしょう。
プログラミングに対して「どうしても理解できない」「やりたくない」という気持ちが強い方は、SIer以外の職種を検討することをおすすめします。
【関連記事】ITエンジニア19種類一覧!仕事内容や将来性・必要スキル・難易度をわかりやすく解説
特徴2.プログラミングだけやりたい
一見矛盾するように思えますが、「純粋にプログラミングを楽しみたい」という方にもSIerはおすすめできません。
SIerの業務ではたしかにプログラミングを使用しますが、それは業務の一部に過ぎないからです。
実際の現場では、要件定義や設計、テスト、ドキュメント作成など、プログラミング以外の作業が大半を占めます。
また、クライアントの要望や予算に応じた制約の中で開発を行うため、自由な発想でコーディングを楽しむ機会は限られています。
純粋にプログラミングを極めたい方は、Web系企業のエンジニアやフリーランスなど、より専門性の高い職種を目指すとよいでしょう。
特徴3.短納期への対応が苦手
SIerの現場では、「納期に間に合わせる」ことが最優先事項の1つとなります。
クライアントとの契約で定められた期日までに、必ずシステムを納品しなければならないためです。
そのため、予期せぬトラブルが発生しても、残業や休日出勤で対応することは珍しくありません。
特に大規模プロジェクトでは、複数の工程が連動しているため、1つの遅れが全体に影響を及ぼします。
短納期のプレッシャーに耐えられない方や、時間に追われる環境が苦手な方は、SIerでの就職は避けたほうが無難でしょう。
特徴4.マネジメントができない
SIerでは、プロジェクトの進行管理やチームメンバーの業務管理など、マネジメント能力は不可欠です。
特に経験を積むにつれて、プロジェクトマネージャーとしての役割を担うことが増えます。
具体的には、スケジュール管理、リソース配分、リスク管理、予算管理など、多岐にわたる管理業務が発生します。
また、クライアントとの折衝や、協力会社との調整なども重要な業務です。
論理的思考力や問題解決能力が不足している方、複数の業務を同時に管理することが苦手な方は、SIerでの活躍は難しいでしょう。
特徴5.コミュニケーション能力が低い
SIerの仕事は、クライアントやチームメンバーとの密なコミュニケーションなしには成り立ちません。
要件定義の段階では、クライアントの要望を正確に理解し、技術的な制約や予算との兼ね合いを説明する必要があります。
また、チーム内でも、進捗報告や課題共有、技術的な相談など、日常的なコミュニケーションが欠かせません。
時には、クライアントとの認識の違いや、チーム内での意見の対立を調整することも求められます。
自分の考えを明確に伝えることが苦手な方や、他者との協働に苦手意識がある方は、SIerでの業務に大きなストレスを感じることが多いでしょう。
SIerが向いている人の特徴
SIerが向いている人の特徴は、以下の4つです。
自分に該当するものがないか、チェックしてみましょう。
特徴1.IT業界の変化を楽しめる
IT業界の変化のスピードは、他の業界では見られないほど目まぐるしいものがあります。
新しい技術やツールが次々と登場し、理解し活用することが求められます。
この変化に対応するのはたしかに大変ですが、楽しめる人にとってはSIerは理想的な仕事です。
たとえば、クラウドサービスの進化やAIの実用化など、新しい技術トレンドを追いかけることに喜びを感じる人は、SIerで活躍できることが多いでしょう。
また、新しい技術を実際のビジネスに適用する機会も多く、自身の知識やスキルを常にアップデートできる環境があります。
特徴2.論理的思考ができる
SIerの仕事では、クライアントの抱える課題を分析し、最適なソリューションを提案・実装する必要があります。
そのため、論理的思考力は必須のスキルです。
具体的には、システム要件の分析、設計書の作成、テスト計画の立案など、さまざまな場面で論理的思考力が試されます。
「なぜその解決策が最適なのか」「どのような手順で実装するべきか」といった判断を、論理的に説明しなければならないからです。
また、プロジェクトの進行における問題点を早期に発見し、適切な対策を講じることも求められます。
特徴3.コミュニケーション能力が高い
SIerの仕事は、決して技術力だけで成り立つものではありません。
クライアントとの要件定義、チーム内での情報共有、他部署との連携など、さまざまな場面でコミュニケーション能力が必要となります。
特に、技術的な内容を非エンジニアにも分かりやすく説明する能力や、クライアントの本当のニーズを引き出す力が重要です。
高いコミュニケーション能力を持つ人材は、プロジェクトマネージャーや要件定義のリーダーとして活躍でき、キャリアの幅も広がります。
特徴4.柔軟性がある
SIerの現場では、予期せぬトラブルや仕様変更が日常的に発生します。
納期直前での要件変更や、突発的なシステムダウンなど、想定外の事態に直面することも少なくありません。
そのような状況で、柔軟に対応できる人材は重宝されます。
たとえば、クライアントからの急な要望変更に対して、代替案を素早く提案できたり、チームメンバーの急な欠員に対して臨機応変にタスクを再分配できたりする能力がSIerに求められます。
SIerで働くデメリット
SIerで働くことには、以下のようなデメリットがあります。
デメリット1.スキルが身につきにくい
SIerでは、実際のプログラミング業務よりも、クライアントとの打ち合わせや提案資料の作成、要件定義などの上流工程に時間を取られることが多いです。
さらに経験を積むにつれて、マネジメント業務が増えていくでしょう。
そのため「コードを書く機会が少ない」「技術力が伸び悩む」といった悩みを抱えるエンジニアは少なくありません。
また、一度習得した古い言語やフレームワークを使い続けることも多く、新しい技術スタックへのキャッチアップが難しい環境に陥りやすいものです。
プログラミングスキルを伸ばしたい方にとって、大きなデメリットとなるでしょう。
特に若手エンジニアの場合、基礎的な開発経験を積みたい時期にコーディング機会が限られてしまうことは、キャリア形成の観点から不安要素となります。
デメリット2.最新技術を使う機会が限られる
SIerの仕事は、クライアントの要望に応じたシステム開発が基本です。
そのため、最新技術への興味や学習意欲があっても、実際の業務で活用できる機会は限られています。
その理由として、以下のような要因が挙げられるでしょう。
- クライアントが安定性を重視し、実績のある従来技術を選ぶ
- 既存システムとの互換性を維持する必要がある
- 予算や納期の制約により、新技術の検証時間が確保できない
- 組織の意思決定プロセスが複雑で、新技術の導入に時間がかかる
このように、Web系企業などと比べて技術的なチャレンジが少なく、エンジニアとしての市場価値が相対的に低下してしまう可能性があります。
デメリット3.職場環境が悪い場合がある
SIerは、職場環境が以下のような状況では働きにくさを感じることが多くなるでしょう。
- 納期に追われる慢性的な長時間労働
- チーム内の人間関係の軋轢
- 客先常駐による孤立感
- 上司からの過度なプレッシャー
- 業績悪化による待遇面での不安
また、大規模プロジェクトでは、組織が硬直化しやすく、改善提案が通りにくい雰囲気になることもあります。
「やめとけ」と言われる背景には、このような職場環境の問題も大きく影響しているのです。
ただし、必ずしもすべてのSIerに当てはまるわけではありません。
企業選びの際に、職場環境や社風をしっかりと確認することで、このようなデメリットを回避することも可能です。
SIerで働くメリット
「SIerはやめとけ」というネガティブな意見もありますが、実はメリットも多くあります。
SIerで働くメリットは、主に以下の5つです。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
メリット1.安定して仕事がある
SIerのメリットは、安定して仕事があることです。
企業のDX化が進む中、システム開発や保守・運用の需要は年々増加しています。
大手企業を中心に、基幹システムの刷新や新規システムの開発案件は途切れることがありません。
また、一度開発したシステムは定期的なメンテナンスや更新が必要となるため、継続的な仕事が発生します。
システムの保守・運用業務は、景気に左右されにくい安定した収益源です。
さらに、IT人材の需要は今後も高まると予測されており、SIerの仕事がなくなるリスクは極めて低いと言えます。
「やめとけ」と言われるSIerですが、安定性という点では魅力的な業界なのです。
メリット2.社会貢献できる点に魅力がある
SIerの仕事は、企業の課題解決に直結しているため、社会貢献度が高いのが特徴です。
たとえば、業務効率化システムの開発により、クライアント企業の生産性向上に貢献したり、セキュリティシステムの構築で情報漏えいを防いだりと、目に見える形で成果を実感できます。
また、金融機関のオンラインバンキングシステムや、小売業の在庫管理システムなど、私たちの日常生活を支えるシステムの開発・運用にも携わることができます。
自分の関わったシステムが実際に使われ、社会に貢献している実感が持てることは、大きなやりがいにつながるでしょう。
さらに、システム開発を通じて企業の業務改善や効率化を実現することで、働く人の労働環境改善にも貢献できます。
社会的意義のある仕事に携われることは、SIerならではの魅力と言えるでしょう。
メリット3.大きなプロジェクトに関れる可能性がある
SIerには、数十億円規模の大規模プロジェクトに携わるチャンスがあります。
特に大手SIerでは、金融機関の基幹システム刷新や、官公庁の大規模システム開発など、社会的にも重要な案件を手がけています。
このような大規模プロジェクトでは、要件定義から設計、開発、テスト、運用まで、システム開発の全工程を経験できるでしょう。
また、数十人から数百人規模のチームで働くことで、プロジェクトマネジメントやチームマネジメントのスキルも身につきます。
大規模プロジェクトでの経験は、キャリアの幅を広げる貴重な機会となります。
「やめとけ」と言われるSIerですが、このような経験を積める環境は、他の業界では得難いものです。
メリット4.異なる業界と関わる機会がある
SIerの魅力の1つは、さまざまな業界のクライアントと関われることです。
金融、製造、流通、医療、官公庁など、業界を問わずシステム開発のニーズがあるため、幅広い知識と経験を積むことができます。
たとえば、金融業界のシステム開発では、証券取引の仕組みや法規制について深く理解できます。
製造業では、生産管理や品質管理のノウハウを学ぶことが可能です。
また、異なる業界の課題や解決策を知ることで、視野が広がり、問題解決能力も向上します。
この経験は、将来的なキャリアチェンジや、コンサルタントとしての活動にも活かせる貴重な資産となるでしょう。
メリット5.将来性がある
IT業界の需要は今後も拡大が予想され、SIerのキャリアには大きな将来性があります。
DX推進やクラウド化の波に乗り、新しい技術やサービスへの需要は増加の一途をたどっているからです。
SIerでの経験を積むことで、システムエンジニアとしてのスキルアップはもちろん、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなど、より上位のポジションを目指すことも可能です。
また、独立してフリーランスとして活動したり、自社でIT企業を立ち上げるなどのキャリアパスも考えられます。
さらに、獲得した技術力やマネジメント能力を活かして、事業会社の社内SEやITベンチャーへの転職など、キャリアの選択肢は豊富です。
「やめとけ」と言われることもありますが、将来性という観点では、SIerは魅力的な業界だと言えるでしょう。
SIerはやばい、新卒でSIerやめとけは本当?
SIer業界には、気になる噂がいくつか存在します。
この噂について、実態を詳しく見ていきましょう。
SIerはやばい?
SIer業界が「やばい」と言われる背景には、労働環境の厳しさと業界構造の問題があります。
- 過酷な労働環境
- 多重下請け構造
一部のブラック企業では、長時間労働や過度な残業、休日出勤が常態化しており、これが「やばい」と言われる主な要因です。
ただし、大手や優良企業では働き方改革が進んでおり、改善の動きも見られます。
また、多重下請け構造の問題も挙げられます。
階層が下がるほど利益率や労働条件が悪化し、技術力向上や人材育成が難しくなるからです。
一方で、直接契約や構造見直しを進める企業も増えています。
新卒でSIerに就職するのはやめとけ?
新卒でSIerに就職することで得られる学びや経験は大きいですが、企業選びを慎重に行い、自分のキャリアプランに合うかをよく考えることが大切です。
働き方や業務内容を事前にしっかり調査しましょう。
メリット
- システム開発の全工程を経験できるため、要件定義から運用保守までITプロジェクトの流れを学べる。
- 大規模プロジェクトに携われる機会が多く、プロジェクトマネジメントスキルやビジネスコミュニケーション能力が身につく。
- 新卒研修が充実している企業が多く、技術力の基礎を固めるには良い環境。
デメリット
- 一部の企業では長時間労働や過度な残業が常態化しており、労働環境が厳しい場合がある。
- 多重下請け構造の影響で、下流工程では単調な作業が中心となり、給与や待遇が厳しいことがある。
- 最新技術に触れる機会が少なく、特定スキルに偏るリスクがある。
- 将来的にWeb系やスタートアップ企業へ転職したい場合、経験が限定的で不利になることがある。
SIer企業を選ぶ際に確認すべきポイント
SIer企業選びで失敗しないために、確認したいポイントは以下の6つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポイント1.規模が大きい企業か
SIer企業は、できる限り規模が大きい企業を選ぶことをおすすめします。
規模の判断基準としては、従業員数1,000人以上、売上高100億円以上を目安にするとよいでしょう。
規模が大きい企業は、一次請けとして直接クライアントと取引を行うケースが多く、プロジェクトの予算も潤沢です。
そのため、社員一人あたりの作業負担が偏りにくく、労働環境も比較的良好です。
大手SIerであれば、プライム案件(元請け案件)を多く抱えており、社員の待遇も手厚い傾向にあります。
また、大規模な研修制度が整っていることも多く、キャリアアップの機会も豊富です。
ポイント2.何次請けの企業か
SIer業界特有の多重請け構造において、企業が何次請けなのかを確認することは重要です。
企業の請負階層は、面接時に直接確認するか、企業の実績や取引先を調べることで把握しましょう。
一次請け(プライム)企業は直接クライアントと交渉できるため、高い利益率を確保できます。
一方、二次請け以降になると、上流工程から外れやすく、単価も下がっていきます。
一次請けが多い企業では、エンドユーザーとの直接取引実績が豊富で、大手企業との取引実績が公開されています。
二次請け以降が中心の企業は、「やめとけ」と言われる要因の1つとなっているブラック企業である可能性も高いため、注意が必要です。
ポイント3.自社サービスや強みがあるか
自社サービスや独自の強みを持つSIer企業は、市場での競争優位性が高く、安定した収益を確保できています。
特に注目したいのは、自社製品の有無、特定業界での専門性、技術力の高さなどです。
自社パッケージソフトや特定業界での豊富な実績など、他社と差別化できる要素があるかどうかをチェックしましょう。
企業の強みは、公式サイトの事業内容や採用情報、IR情報などから確認できます。
ポイント4.スキルを伸ばせる業務内容か
キャリアアップのためには、担当する業務内容がスキルを伸ばせるものかどうかを慎重に確認する必要があります。
特に、プログラミングやシステム開発に携わりたい場合は、実際の業務内容や担当範囲を具体的に確認しましょう。
面接時には、以下のような点を質問するとよいでしょう。
- 新人研修の内容と期間
- 配属後の具体的な業務内容
- 使う言語やツール
- キャリアパスの例
- 資格取得支援制度の有無
「やめとけ」と言われるSIer企業の中には、単純作業ばかりを任せられるケースもあるため、事前の確認が重要です。
ポイント5.新技術を取り入れる風土があるか
IT業界は技術革新が速いため、新技術への対応力は企業の将来性を左右する重要な要素です。
新しい技術やツールを積極的に導入し、社員の技術力向上を支援する風土があるかどうかをチェックしましょう。
確認のポイントとしては、以下が挙げられます。
- 技術研修の実施状況
- 最新技術を使用したプロジェクト実績
- 技術勉強会の開催
- 社外セミナーへの参加支援
- 技術ブログの発信
「やめとけ」と言われるような古い技術しか扱わない企業では、市場価値の高いスキルを身につけることは難しいでしょう。
ポイント6.社員の年齢層に偏りはないか
社員の年齢構成は、企業の労働環境や将来性を判断する重要な指標です。
若手社員が極端に少ない、あるいは中堅層が薄いといった偏りがある場合、離職率が高いなどの問題を抱えている可能性があります。
企業に問題がないか、次のような点を中心に確認するとよいでしょう。
- 採用情報での年齢構成データ
- 口コミサイトでの情報
- 面接時の質問
- 社内見学での観察
特に「やめとけ」と言われるような企業では、若手の離職率が高く、ベテラン社員ばかりが残っているケースもあります。
バランスの取れた年齢構成は、健全な職場環境の証と言えるでしょう。
SIerにおすすめの転職エージェント
SIerへの転職を成功させるためには、信頼できる転職エージェントの存在が不可欠です。
自分に合った企業を見つけるには、豊富な求人情報と業界知識を持つエージェントのサポートが重要になります。
以下の6つの転職エージェントは、SIer業界への転職に特に強みを持っています。
おすすめIT転職エージェント・転職サイト
サービス名 | 特徴 |
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ワークポート |
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ビズリーチ×IT |
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マイナビ IT AGENT |
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まずは気になるエージェントに登録して、カウンセリングを受けてみることをおすすめします。
プロのアドバイスを受けながら、自分に合ったSIer企業を見つけていきましょう。
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引用:ワークポート
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(引用:ワークポート)
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(最終更新日:2024年12月)
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引用:ビズリーチ×IT
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SIerでの経験を活かして、さらなるキャリアアップを目指すなら、以下の転職先がおすすめです。
それぞれの特徴や魅力を詳しく見ていきましょう。
上位SIer
SIer業界は多重下請け構造が一般的ですが、上位のSIerに転職することで、よりよい環境でスキルアップを図れます。
元請けに近い立場になることで、プロジェクトの上流工程に関われる機会が増え、マネジメントスキルも身につきやすくなります。
また、大手SIerは福利厚生が充実していることも多く、給与水準も比較的高めです。
プライム案件を多く抱えている企業であれば、最新技術に触れる機会も増えるでしょう。
ただし、それだけ求められる責任も重くなるため、十分な実務経験を積んでから挑戦することをおすすめします。
自社サービスのある企業
自社サービスを持つ企業は、SIerからの転職先として人気があります。
受託開発だけでなく、自社製品を持つことで収益構造が安定しており、最新技術への投資も積極的に行える傾向にあります。
自社サービスの開発・運用に携われることで、エンジニアとしての市場価値も高まりやすいのが特徴です。
また、サービスの企画から運用まで一貫して関われるため、幅広いスキルを身につけられます。
特に、ユーザーの声を直接聞きながら改善を重ねていけるのは、大きなやりがいにつながるでしょう。
社内SE
SIerで培った経験は、社内SEとしても大いに活かせます。
システム開発や運用の知識はもちろん、ユーザー部門とのコミュニケーション能力も重宝されます。
社内SEの魅力は、特定の業界や企業に特化したシステムに深く関われる点です。
また、残業が比較的少なく、ワークライフバランスを重視できる環境が多いのも特徴で、キャリアを重ねるとIT部門のマネージャーや情報システム部長といった管理職も目指せます。
コンサルティングファーム
SIerでの経験を活かして、コンサルティングファームへの転職を目指すのも有効な選択肢です。
特に、システム開発の知識と実務経験は、ITコンサルタントとして高く評価されます。
コンサルティングファームでは、クライアントの経営課題を解決するための提案や、システム導入の支援などを行います。
年収はアップすることが多く、プロジェクトマネジメントやビジネス戦略の立案など、より高度なスキルを身につけられるでしょう。
フリーランス
SIerで十分なスキルと経験を積んだ後は、フリーランスとして独立するという選択肢もあります。
特に、プロジェクトマネージャーやアーキテクトとしての経験がある場合、高単価での案件獲得が期待できるからです。
SIer時代に築いた人脈は、フリーランスとして活動する上で大きな武器となります。
また、得意分野を活かした案件を選択できる自由度の高さも魅力です。
ただし、安定した収入を得るためには、技術力だけでなく、営業力や経営感覚も必要になります。
【関連記事】フリーランスエンジニアはやめとけといわれる理由10選!リアルな現実を解説
まとめ
「SIerはやめとけ」と言われる理由には、厳しい納期やスキルアップの機会が少ないといったデメリットや、一部ブラック企業の存在が挙げられます。
しかし、企業選びを慎重に行うことで、SIerでのキャリアは大きなチャンスに変わります。
企業のDX推進やIT投資の増加により、SIerの需要は安定しており、大規模なシステム開発に携われる環境でエンジニアとして経験を積むことができます。
噂に振り回されず、自分に合ったキャリアプランを見つけてください。
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