| |
| |
|
IT業界は人材不足が深刻化しており、IT人材の需要は高まるばかりです。
この記事では、IT人材不足の実情とその理由を解説します。
経済産業省は「2030年にIT人材は最大79万人不足する」と予想
経済産業省では、IT人材需給に関して、以下のような試算を公表しています。
ITニーズの急速な拡大により、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足すると予測されており、国はエンジニアをはじめとしたIT人材の確保を重要視しています。
実際にIT人材の充足度が低い企業は増加している
経済産業省所管の独立行政法人「IPA」の調査によれば、IT人材が不足している企業は年々増加しています。
2023年度の調査では、6割を超える企業が「大幅に不足している」と回答しました。
引用元:DX動向2024|IPA(独立行政法人 情報処理推進機構
また同調査では、人材の「量」だけでなく「質」の確保に問題を抱える企業が多いこともわかっています。
IT・通信業界のエンジニア職種の求人倍率は右肩上がり
大手転職エージェント「doda」が発表したデータを見ても、あらゆる職種の中でもIT・通信に関わるエンジニアの求人倍率が最も高く、年々需要が高まっています。
引用元:平均年収ランキング|doda
ITインフラを支える役割を担っているIT業界は今後もますます市場規模が拡大していくと予測され、その将来性は非常に高いといえるでしょう。
IT人材が不足している理由
IT関連の人材が足りなくなっている理由には、おもに以下の3つが挙げられます。
あらゆる産業分野でIT需要が拡大しているから
今やデジタル技術はどの業界でも欠かせないものとなっており、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業は年々増えています。
しかし、急速なDX需要の拡大に対して、人材の供給は追いついていない状態です。
実際にIPAによる調査でも、製造業やサービス業をはじめとするさまざまな業界で、IT人材が大幅に不足しているという結果が出ています。
引用元:DX動向2024|IPA(独立行政法人 情報処理推進機構
すでにITを導入している企業には、保守・管理や改善が欠かせませんし、将来的には新しいシステムへの移行も予想されます。
また、業務の生産性の向上や効率化、またビジネス拡大のために新たにDXを導入する企業はさらに増加すると考えられるため、今後もIT人材の供給不足は続くでしょう。
少子高齢化により労働力人口が減少しているから
日本では、少子高齢化によって労働力人口が減少しているのが現状です。
「令和5年度 厚生労働白書」では、2070年に高齢化率(65歳以上の人口割合)が38.7%にもおよぶと推計されています。
また、少子化が進む中、2025年には第一次ベビーブーム期に生まれた団塊の世代が、すべて75歳以上の後期高齢者となります。
そのため、新たな人材と退職する人材のバランスが崩れるのは必然的です。
15歳以上で働く能力と意思のある労働力人口の減少は、IT業界だけでなく社会全体における慢性的な人手不足の原因といえるでしょう。
IT技術の進展がスピーディーだから
経済産業省は、2019年の時点で「従来型のIT人材に関してはいずれ供給が需要を上回る可能性が高いが、先端IT人材は需要が増え続ける」と予測していました。(参照:IT人材需給に関する調査(概要)|経済産業省)
実際にIT技術は急速な発展を遂げており、新しく生まれた技術に対応できるIT人材は常に不足しています。
とくに、昨今ニーズが高まっているクラウドコンピューティング・ビッグデータ・IoT・AIなどに携わるIT人材は、大幅な供給不足の状況です。
たとえエンジニアとしての経験があったとしても、仕事をしながら新しいスキルを身に付けることは簡単ではないため、先端IT人材への道を断念してしまう人も少なくありません。
IT技術の進化がさらに進む中、IT人材の確保に苦しむ企業はますます増えていくでしょう。
人手不足のIT業界で今後求められるエンジニア職種
現時点で人手が不足している職種や、今後より需要が高くなるとされる職種には、以下のようなエンジニアが挙げられます。
各職種の年収や向いている人の特徴なども、職種選びの参考にしてみてください。
インフラ系エンジニア
インフラ系エンジニアは、ネットワーク・サーバー・セキュリティなどITインフラの設計や構築を行います。
ここでは、とくに需要の高いセキュリティエンジニアとクラウドエンジニアについてご紹介します。
セキュリティエンジニア
おもな仕事内容 |
|
---|---|
必要なスキル |
|
向いている人の特徴 |
|
平均年収 | 558.3万円 (参照:job tag|厚生労働省) |
【関連記事】未経験からセキュリティエンジニアになる方法を解説!おすすめの勉強方法や資格も紹介
クラウドエンジニア
おもな仕事内容 |
|
---|---|
必要なスキル |
|
向いている人の特徴 |
|
平均年収 | 684.9万円 (参照:job tag|厚生労働省) |
AIやビッグデータ関連のエンジニア
AIやビッグデータに携わるエンジニアは、大量のデータを適切に処理して分析したり、機械学習をさせたりすることでビジネスに応用できる知見を導き出します。
このタイプのエンジニアには、プログラミングやコンピューターサイエンスへの理解だけでなく、高度な数学の理解やドメイン知識が求められます。
AIエンジニア
おもな仕事内容 |
|
---|---|
必要なスキル |
|
向いている人の特徴 |
|
平均年収 | 558.3万円 (参照:job tag|厚生労働省) |
データサイエンティスト
おもな仕事内容 |
|
---|---|
必要なスキル |
|
向いている人の特徴 |
|
平均年収 | 554.3万円 (参照:job tag|厚生労働省) |
【関連記事】未経験からデータサイエンティストに転職する方法!年代別の難易度も解説
IoT技術関連のエンジニア
IoT(アイオ―ティー)とは「Internet of Things」の略であり、従来インターネットに接続されていなかったものが、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続されて、相互に情報交換をするしくみを指します。
IoT市場は急速に拡大しているため、IoT関連のエンジニアの人材育成は追いついておらず、その需要は高まり続けています。
システムエンジニア(組み込み・IoT)
おもな仕事内容 |
|
---|---|
必要なスキル |
|
向いている人の特徴 |
|
平均年収 | 557.6万円 (参照:job tag|厚生労働省) |
何でもこなせるフルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアとは、フロントエンドからバックエンド、サーバー管理からデータベースまで、すべての領域を網羅しているITエンジニアを指します。
厳密にいえば、フルスタックエンジニアという職種はなく、スキルやポジションを示す言葉として使われることが多いです。
幅広いスキルを持ち、マルチに業務をこなせることから「マルチエンジニア」「万能エンジニア」とも呼ばれています。
幅広い経験を積んだ人材は簡単には育成できないため、フルスタックエンジニアは市場価値が高く、多くの需要があるといえるでしょう。
【関連記事】未経験からフルスタックエンジニアになるには?必要なスキル・資格や転職のコツ
マネジメント能力が必要な管理・コンサル系職種
管理・コンサル系エンジニアは、プロジェクトのマネジメントや上流工程を担当します。
ここでは、確かなスキルと幅広い知識を活かして高年収を狙えるPMとITコンサルタントをご紹介します。
PM(プロジェクトマネジャー)
おもな仕事内容 |
|
---|---|
必要なスキル |
|
向いている人の特徴 |
|
平均年収 | 684.9万円 (参照:job tag|厚生労働省) |
ITコンサルタント
おもな仕事内容 |
|
---|---|
必要なスキル |
|
向いている人の特徴 |
|
平均年収 | 684.9万円 (参照:job tag|厚生労働省) |
未経験からエンジニアを目指すならできるだけ早く行動を!
未経験からエンジニアになりたいならば、早めに学習や転職活動を始めましょう。
なぜなら、IT業界では実務経験や専門スキルを活かしてキャリアアップしていくのが一般的なため、まずはエンジニアとしてのキャリアをスタートさせることが大切だからです。
エンジニアとして活躍し続けるためには、どのようなキャリアパスを進んでいくべきかを慎重に検討しましょう。
なおITスクールで学ぶ場合は、厚生労働省認定の「専門実践教育訓練給付制度」や、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」などの給付金を活用することをおすすめします。
【関連記事】未経験からエンジニアになるには?転職方法・やめとけといわれる理由も解説
【関連記事】エンジニアになるための勉強方法|未経験者におすすめのスクールや独学向け学習サイトも紹介
未経験から目指しやすいエンジニア職種
エンジニア職種は細分化されており、一口に「エンジニア」といっても、未経験でも挑戦しやすい業務から経験・資格が必要な業務までさまざまあります。
未経験でも比較的挑戦しやすい職種には、おもに以下5職種が挙げられます。
分類 | 職種 | 仕事内容 |
---|---|---|
システム開発系 | テスター | システムやアプリケーションが正常に動作するかテストを行う |
プログラマー | システムエンジニアが設計した設計書に基づき、プログラムを作成する | |
Web開発系 | マークアップエンジニア | Webデザイナーが作成した設計書に基づき、Webサイトを実装する |
インフラ系 | サーバーエンジニア | サービスを提供するコンピューターである「サーバー」の構築・運用・保守を行う |
ネットワークエンジニア | コンピューターやサーバーをつなぐネットワークの構築・運用・保守を行う |
まずはハードルの低い職種から始めてエンジニア経験を積み、その後キャリアアップを狙っていきましょう。
【関連記事】ITエンジニアの種類を紹介!仕事内容・年収・転職難易度・将来性も解説
未経験からIT業界への転職におすすめの転職エージェント
未経験者向けのIT求人を保有する転職エージェントの特徴・求人数をまとめました。
エンジニアのポテンシャル採用を行う企業の求人を探す場合にも、これまでの経験・スキルを活かしてIT業界に転職したい場合にも、まずはキャリアアドバイザーに相談してみましょう。
未経験からIT業界を目指す人におすすめの転職エージェントを比較
サービス名 | 特徴 | 求人数 | 未経験可のITエンジニア求人数 |
---|---|---|---|
公式サイト |
| 約106,600件+非公開求人 | 約1,300件 |
公式サイト |
| 約476,700件+非公開求人 | 約2,800件 |
公式サイト |
| 200,000件以上(非公開求人を含む) | 約1,800件 |
(最終更新日:2024年10月)
【関連記事】おすすめのIT転職エージェントを比較!エンジニア向けに厳選紹介
ワークポート|ポテンシャル採用を狙える求人が充実
引用:ワークポート
「ワークポート」は、IT・Web・ゲーム業界への転職に強みを持つ総合型の転職エージェントです。
実務未経験者でも応募可能なIT求人を多く保有しており、教育制度の整った環境で学びながら働ける企業を見つけやすいのが特徴です。
ワークポートでは、各業種・職種に精通した「転職コンシェルジュ」と呼ばれるアドバイザーが、転職活動を親身にサポートしてくれます。
レジュメ添削や面接対策を得意としているコンシェルジュも多いため、選考対策に不安がある人にもおすすめです。
運営会社 | 株式会社ワークポート |
---|---|
公開求人数 | 約106,600件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
料金 | 無料 |
(最終更新日:2024年10月)
ワークポート公式サイトリクルートエージェント|豊富な求人情報が魅力
引用:リクルートエージェント
「リクルートエージェント」は、業界トップクラスの求人数を誇る転職エージェントです。
IT業界の求人も充実しており、実務未経験者向けの教育体制が充実した企業を紹介可能です。
リクルートエージェントには、1977年の創業以来多くの求職者を支援してきた実績があり、未経験職種・業種への越境転職のサポートにも強みがあります。
キャリア相談をはじめ、求人紹介・選考対策・条件交渉などさまざまなサポートを受けられることから、IT業界未経験でも転職活動を進めやすくなります。
選考通過率を高めるためには、とくに志望動機の作成や面接対策のアドバイスをもらうとよいでしょう。
運営会社 | 株式会社リクルートキャリア |
---|---|
公開求人数 | 約476,700件 |
非公開求人数 | 約87,200件 |
対応地域 | 全国 |
料金 | 無料 |
(最終更新日:2024年10月)
リクルートエージェント公式サイトdoda|利用者の口コミ評価が高いエージェントサービス
引用:doda
「doda」は、転職エージェントとしても求人サイトとしても利用できる使い勝手の良いサービスです。
とくにエージェントサービスの評判が良く、利用者からの人気も高いです。(参照:オリコン顧客満足度Ⓡ調査)
求人サイトとして利用する場合は、未経験可のIT求人を探して直接企業に応募できるため、自分のペースで転職活動を進めたい人にもおすすめです。
自由に求人を検索し、本格的に転職活動を始める前の情報収集にも活用してみてください。
運営会社 | パーソルキャリア株式会社 |
---|---|
公開求人数 | 約200,000件以上(非公開求人を含む)件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国+海外 |
料金 | 無料 |
(最終更新日:2024年10月)
doda公式サイトまとめ
IT業界では慢性的な人手不足が続いており、今後も需要が拡大していくことが予測されています。
IT業界の人手が不足しているおもな理由
- あらゆる産業分野でIT需要が拡大しているから
- 少子高齢化により労働力人口が減少しているから
- IT技術の進展がスピーディーだから
とくに先端スキルを身に付けたエンジニアの確保は、国を挙げての大きな課題となっています。
求められるIT人材になるためには、目指す職種を明確にして戦略的なキャリアプランを練るとよいでしょう。
IT業界で需要の高いエンジニア職種
未経験からITエンジニアを目指す場合は、なるべく早めに学習や転職活動を始め、エンジニアとしてのキャリアをスタートしましょう。
将来性の高いIT業界でこれまでの経験・スキルを活かしたいならば、まずは転職エージェントに相談してみることもおすすめです。
| |
| |
|